昨日のエクスアンプロヴァンス・グラネ美術館からもう一枚、セザンヌの作品です。この絵は一年間限定で他から借り受けている作品のようですので、来年はもうここでは見ることが出来ないものと思います。晩年のセザンヌが描いたエクスアンプロヴァンス郊外、トロネの道の風景画です。優しさと激しさが同居した、そんな絵のように感じますし、セザンヌがセザンヌ自身の意思によって辿り着いた”かたち”が感じられるようにも思います。セザンヌがこれらの絵を描いていたころ、パリでは新しい芸術評価が進み、美術サロン界でもこれまでのル・サロン展にとってかわるサロン・ドートンヌ展やパリ・アンデパンダン展など未来志向の展覧会が開催されるようになりました。時代がようやくセザンヌに追いつく。そういうことが、これからやってくる時であったに違いありません。